日本における結婚相談所の約7~8割は個人事業主であり、特殊なスキルや資格も必要が無く、仕事を始めるにあたっても比較的短い準備期間で始められる良いお仕事ではありますが、実際に相談所を開業しようと考えた場合、「実際にやっていけるのだろうか?どうすれば儲かるのだろうか?」というのが気になるところだと思います。
「儲かる」という言葉を出すと「感じが悪い」とか「表立っては言いづらい」という方もいらっしゃると思います。ですが、開業から早期に黒字化させ、継続的に利益を出していくことがビジネスでは重要です。
今回は結婚相談所の収入として、お客様からどのような費用を、どれぐらい頂いているかをご紹介致します。
結婚相談所が自社の会員からもらう料金の基本的な項目
次の5つが最もポピュラーです。
- ①入会金
- ②登録料
- ③月会費
- ④お見合い料
- ⑤成婚料
では、順に説明していきます。また、料金表記は今後税制が変わっても対応が容易なように税抜きの価格で全て表記したいと思います。
▼目次
①入会金
会員さんの入会時の諸手続きにかかる費用となります。
諸手続きとしては入会者に対してサービス内容や入会後の会員規約の説明、特商法で定められた契約書類一式の交付作業や入会後の活動の方針の指導や相談受付等々、があります。また、その相談所の会員として活動する権利を取得するための費用という意味も含まれる場合が多いです。
金額設定としては傾向を大まかに分けると
- 無料
- 2万円~5万円
- 5万円以上
の3通りになります。この中で一番ポピュラーで、相談所を初めて開設する際に一番向いている料金設定はⅡで実際の金額としては3万円となります。さまざまな地域・規模の相談所の料金体系を見ても、入会金を3万円と設定しているところは多く見受けられます。
この理由としては
- 中途解約時に、相談所側が受け取れる最大限の入会時初期費用が3万円であること。
が上げられます。リスクを最小限に抑え、最大限の収益を上げるための料金設定と言えます。
結婚相談所では入会前から会の説明だけでなく、入会希望者へのカウンセリングや相談事への対応等をかなりの時間をかけて行なうことが多く、それぞれの顧客が持つ悩みや問題に個別に対応する必要があります。仕事の特性としてはお医者さんや弁護士さんと方向性は同じですが、結婚相談所には国から診療報酬と同等の報酬が出るわけでもなく、相談者から30分数千円の相談料がいただけるわけでもありません。
預かっている案件に対する責任の度合いや重みを考えると「健康や生命の維持」、「法治国家内での社会的地位や自身の正当性を確保するためのサポート」と「結婚相手を探すサポート」では重さが違うイメージを受ける方もいらっしゃると思いますが、結婚も人生の中で最大と言っていいほどの一大イベントですので、それなりの費用を頂いても良いと考えます。
また、Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ.の料金体系にはそれぞれ設定した際のメリット・デメリットがあります。
Ⅰ.無料
メリット | 問い合わせが増える可能性あり。 |
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デメリット | 質の悪い入会希望者が集まる可能性も増える。 |
Ⅱ.2万円~5万円前後
メリット | リスクを抑えて、適正な収益を上げることが出来る。 |
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デメリット | 他社と料金での差別化が難しい。 |
Ⅲ.5万円以上
メリット | 最初に払う金額が高いと一度入った会員がやめにくい。収益が上がりやすい。 |
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デメリット | 結婚相談所を開業したばかりの実績が無い状態では、入会してもらえる可能性が低い。 |
個人で結婚相談所を運営していくのであれば、開業当初はⅡを。成婚実績が増え、自分の仕事に自信が持てるようになればⅢにシフトするのが望ましい展開です。
相談所を開業したばかりですとⅠを選ぶ方もいらっしゃると思いますがお勧めできません。無料に惹かれてくる方は
- 価格に惹かれてくるので、相談室長自身と相性が合わない人
- 収入や蓄えの少ない方=プロフィールにすると条件が悪い人
- 他の相談所で無料で活動して結果がでないと中途解約(退会)するなど、相談室を転々としている人
- 他の相談室で相手をしてもらえないクレーマーのような人
等々、経験や実績のない方が面倒を見るのが難しいタイプの方から問い合わせが入りやすくなってしまいます。最初にこういった方をお世話してしまうと、
「一生懸命お世話をしてもなかなか会員の結果につながらない」→「会員との関係が悪くなる」→「仕事がつまらなくなる」→「やがて会員が退会」→「気持ちが落ち込む」・・・・
と負のループに入り込んでしまうこともあります。「実績が無いので最初は無料で」と考えがちではありますが、それが必ずしも得策ではないのです。
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②登録料
会員さんのプロフィール情報をデータ登録するための費用です。
個人が事業主となり、結婚相談所を営んでいく場合のオーソドックスな流れを説明します。先ず、「連盟」と呼ばれる組織(会社)に加盟します。連盟は、結婚相手を探している独身男女の情報(プロフィール)を持っており、データ化されています。そのデータベースに自身がお世話をしている会員さんのプロフィールを登録することで、加盟相談所間で会員プロフィールを共有できるようになります。会員登録は結婚相談所で行っていただくお仕事ですので、登録作業費をご自身の会員様から「登録料」として頂くのです。
設定の相場としては上記コストを加味すると1万円~3万円前後前後となり、相談所を開業した当初は1万円程度の設定が妥当です。相談所を続けていると上記のような結婚相談所の連盟に複数入ることも珍しくなく、同じ会員さんでもそれぞれの連盟への登録作業が発生しますので、登録料×登録団体数といった計算で料金を設定しているところもあります。
また、登録料は入会当初にかかるので先に出た「入会金」と合わせて「入会時費用」と言う形でまとめて受領する方もいらっしゃいますが、契約の更新時や中途解約の計算時に対応が面倒になる可能性がありますので、項目は合わせず「入会金」「登録料」と別々に設定したほうがわかりやすいです。
登録料は中途解約時には「既に提供された役務(既に行なった仕事)に対する対価」として認識されるので、解約者側に返金する必要はありません。ただし、だからといってこの登録料を法外に高くした場合、「中途解約に応じる姿勢の無い脱法行為」とみなされる場合があります。絶対的な判例はありませんが、登録作業は契約期間内に会員さんに提供するサービスの中の限られた一部ですので、社会通念上説明が付く料金設定が求められます。各団体への支払いと登録作業の労力を考えると上記1万円~3万円前後が妥当であると考えます。
③月会費
お見合いの申し込み・お見合いセッティング・交際・成婚までのアドバイス等、日々の業務(お世話)に対する費用です。
結婚相談所は、会員さんの成婚が決まるまで継続的に会員様のサポートをすることになります。内容としては
- お見合い相手の検索やお申し込みのやり取り等の実務
だけでなく、
- お相手選びや交際中のアドバイス
- お見合いがなかなか組めなかったり、交際に発展しない人へのアドバイスやメンタル的なサポート
さらに踏み込んだサービスをする方は、
- 一緒に買い物に行ってファッションコーディネート
- 会員向けの会報誌やメルマガ等の発行
他に特殊なスキルで他社と差別化しているところは
- 占いで会員さんの運勢や、お相手との相性を診断
- 心理学や交流分析で本人の性格診断や会員に合ったコミュニケーションスキルの指導
等々あります。そのような継続的にサポートやサービス・面倒を見る対価としていただくのが「月会費」です。
こちらの相場は5千円~2万円程度です。ただ、この料金に関しては一番相場が無いと言っても良い項目です。お世話する相談所長の付加価値やサービス内容によって料金設定がかなり変わってくるからです。
また、最近の傾向として月会費の中に「お見合い料」を含めて、月会費を高く設定する相談所もあります。月会費は自社のサービス内容を反映して細かく設定しやすく、相談所内で複数の料金コースを設定する際に調整がしやすい項目です。
開業当初の月会費設定は相場の最低である5千円をベースとして考え、より付加価値がつけられるサービスやスキルがあればその分を上乗せして設定していく形が望ましいです。
④お見合い料
お見合いが設定された時の1回あたりの費用です。
結婚相談所でお見合いが成立した場合、お相手とのセッティングは全て相談所を通して行ないます。そのため、相談所が率先して自分の会員からお見合い希望日や希望場所を聞いたり、お相手相談所と調整して日時を確定させます。また、当日お見合いの待ち合わせ現場までお付き添いをして、お引き合わせをする相談所もあります。これらの対価として頂く費用が「お見合い料」です。
相場としては、1回につき3千円~1万円となります。上記セッティングの手間賃他、お付き添いをするようであればその運賃諸経費を考慮して5千円~1万円の範囲で料金設定を行なうと良いです。近年の傾向としては、お見合い料を取らずに月会費に定額で上乗せする設定にして「お見合い料無料」としている相談所もありますが、これも一つの方法です。
ただ、これにもメリットデメリットがあって
Ⅰ.お見合い料が1回ごとにかかる場合
メリット | 会員が一回のお見合いを大事にする傾向がある。 相談室の収入が増える。 |
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デメリット | お相手選びが慎重になりすぎて、なかなかお見合いにお申し込みしなくなる。 |
Ⅱ.お見合い料が無料の場合
メリット | 会員さんが積極的にお見合いを申し込む。 |
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デメリット | お見合いを組みすぎると、会員が相手を決めきれない可能性が出てくる。その上、相談室側には収入が無いため、お世話がおろそかになる可能性が出てくる。 |
のようなことが実際に発生します。ですので、相談室内で最低2つの料金プランがあってお見合いがいくらでも組めそうな条件が良い方にはⅠを薦め、お見合いを組むのが難しそうな条件の方にはⅡを薦められるような形が理想です。これは収入の面だけでなく、会員さんを出来るだけ早く成婚に導くためにも有効な対処法です。
とはいえ、料金コースを選ぶのは会員さんですので、必ずしも上記の様にはなりません。結婚相談所開業当初はお見合い料有りのプランで始めて、数年後に実績が付いて会員に的確な指導が出来るようになった段階で料金プランを増やして、入会時に「あなたの条件であれば、こちらのコースの方が成婚する可能性が高いですよ!」といったように説得できるような形を目指すとよいです。
⑤成婚料
会員が成婚した際に頂く費用です。
結婚相談所での「成婚」というのは、結婚式を挙げたり入籍をすることではありません。成婚の定義は
- 会員同士がお互い結婚すると意思を決めること。
です。普段のお世話と交際管理で会員さんを支えて、成婚まで導くことが出来れば相談所として大きな喜びと収入をまとめていただけるのです。
成婚料の相場としては、事業規模の違いでかなり開きがあります。
大手相談所、規模の大きな相談所の相場 | 0円~10万円前後 |
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個人事業主、規模の小さな相談所の相場 | 20万円~30万円前後 |
この違いはビジネスモデルの違いから生じるものです。
大手は資本も人材も多く、多くの会員さんを入会させて活動させたり管理することが出来ます。多くの会員さんを集め、出会いや選択の数を増やすことで成婚するカップルを増やしていくビジネスモデルなので、入会金や月会費にウェイトを置いており、お世話する会員の数も多いので入会金や月会費で利益を発生させることができて成婚料がない、もしくは少ない形が主流です。
一方、個人事業主の方は多くの資本を持っているわけではなく、ご自身のみもしくはご夫婦で相談所を運営される方が多いので、入会させてお世話できる会員数がおのずと限られてきます。その限られた人数を親身になって決まるまでお世話をするというのが、小規模な相談所の売りになる部分ですので、成婚料という「成果報酬」にウェイトを置くことが主流で、ビジネスモデルとしてもそれが望ましい形です。
仕事をする上で
- 成婚しても、もらえる金額が変わらない。
のと
- 成婚すれば、多くの成婚料がもらえる。
では、お世話に入る力も変わってくるのが当然です。小規模の結婚相談所がウリに出来る「決まるまで親身になって一人一人のお世話をする」を実現するためにも、成婚料にウェイトを置いた成功報酬型の料金体系にすることが、より良いお世話と仕事へのモチベーション維持に有効です。
開業当初の成婚料は、地域により価格差はありますが、大都市圏であれば15万円~30万円の間で設定して頂いて問題ありません。
まとめ
以上、結婚相談所が開業時、会員から頂く費用についてお伝え致しました。いかがでしたでしょうか?
最後に最大のポイントを!
活躍中の結婚相談所の多くは、複数料金コースを設定しています。
例えば…
1)月会費は割高だが、お見合い費は無料
2)月会費は安いが、お見合い費は有料
3)入会時に一年分の費用を一括で支払うプラン
などです。
「婚活中」と一言で言っても、
➤できるだけ早くお相手を見つけたい方
➤忙しい(限られた時間の)中で良い人を見つけたい方
➤自分のペースで婚活をしたい方
など、色々なご状況下で婚活をされています。そうなると、生活サイクル的にも、お財布事情的にも、自分に最も合ったプランを選べる方がいいですよね。
何事も「顧客視点」で考えることで、お客様に選ばれる結婚相談所に近づいていきます。
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