相談室あるある、第11弾目となりました。
結婚相談所を独立開業、運営していくと必ず訪れるのが「会員さんの退会」です。
お相手が決まって成婚される場合は「成婚退会」となり、事業者側も会員側も大変うれしいものですが、実際にはお相手が見つからずに辞めてしまう「退会」もあります。
相談所は「成婚退会」「退会」どちらもそこでお世話が終わり、会員と相談所の関係性は基本的にそこで終了となります。
お相手が見つかっていないのに相談所を辞めるということは、その相談所に対してサービスや料金等、何かしらの不満や足りないところを感じて辞めることも少なくありません。
そのため、信頼関係がなくなって最後はもめて終わり!なんて場合もあり得る話です。
そうなってしまうとうれしいものではありませんし、退会時の中途解約に余計な力や時間を使ってしまって、本来お世話に費やす時間が削られたり、気持ちが疲弊して結果的に他の会員様へのお世話に悪い影響が出てしまう可能性もあります。
ただ、あまりいいイメージがない「退会」も、対応の仕方一つでなぜか次の集客・入会に繋がるということもあります。今回は実際に相談所であった「あるある」2パターンをお伝えしたいと思います。
パターン1.別れ際はきれいに。
あるベテラン相談所の方が、新人の相談所向け研修会で講演した内容ですが
「会員さんとは別れ際(退会時)こそきれいに。そうすれば、その人が決まらなかったとしても、別の入会希望者を紹介してくれる。」
こんなお話をされていました。
退会時によく問題になるのが
- 中途解約時にどの程度の返金があるか?
です。
消費者からすると「決まってないのだから、大半が戻ってくるだろう」と思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、実際には「ほとんど返金が無い」場合も数多くあります。中途解約時の正確な計算方法に関しては今回詳しく載せませんが、入会時の諸手続き費用が3万円前後、月々の会費が毎月月末払いで、お見合い料はお見合いが組めた時に・成婚料は成婚時にお支払いするような一般的な料金体系の場合は返金がほぼ無いことが多いですし、1年契約の場合は早く退会するほど、会員側が違約金を支払う計算になる場合もあります。
これは「それぞれの費用相当の役務(サービス)が提供された」とみなされるためです。
会員様が決まらなかったとしても、結婚相談所は
- 相談の時間を作ったり
- お相手を検索したり、お見合いを申し込んだりできる環境を提供したり
- イベントを企画してお相手を探せる環境と提供したり
して、それに対して月会費などの各費用をいただいています。
ですので、極端な話「結果的にお見合いが組めない」「結果的に好みのお相手がいない」「結果に成婚できない」としても会員側の月々のお支払いは発生します(ここは契約時の内容によりけりではあります)。
ただ、決まらなかった会員さんからすると、
「決まってないうえに、なんでお金が返ってこないのか!?」
というマインドになるのも致し方無い部分ではあります。
法律・ルール上の計算で行くとほぼ返金が無かったとしても、ここで退会する会員の気持ちを考えて、
- 法律・ルールで決まっている計算をしっかり行った上で説明し、
- 相談所側が至らなかった部分が無いかを考えて、
- 気持ちの部分を返金額に反映してお返しする。
方法も一つです。
退会する会員様との落としどころがお互いに合って、納得の上で退会をされた場合は相談所への悪いイメージは最小限になり、
「私はちょっとご縁がなかったけど、普段の生活よりも出会いや選べるお相手は多い気がするから、結婚したいならいいかも。」
と知人に勧めてくれる可能性もUPします。
とにかく「別れ際はきれいに!」が今回のキーワードの一つです。
パターン2.真剣にぶつかることが意外と良い展開に。
逆にこんな事例もあります。
あまりそりが合わず、ことあるごとにちょっとした事で言い争いになる方がいたそうですが、いよいよあることで決定的な事件が起こってしまい、激しい言い争いになって退会されてしまった方がいるそうです。
ただその後、なぜかその言い争いをした会員さんからの紹介で会員さんが入ったそうです。普通ならそんな相談所に会員さんを紹介しませんよね?あんなに言い争ってやめたのになぜでしょう?
その言い争ってやめた会員さんは、その後、別の方法でご結婚したそうです。そして友達に
「私が結婚できたのは、この相談所でいろいろ話が聞けたから。」
と話をされたことで、お友達が「それなら」と入会を決意したようです。
この相談所の方はただただ感情的に口うるさく話をしていた訳ではなく
- その会員にとって大切なことは、言いずらいことでもはっきり伝える。
- 単に感情的にではなく、真剣に向かいあう。
これが会員さんの気持ちに届いて、その後の紹介につながった好事例です。
会員様は費用を払っているので「自分はお客だ」と思っている方も多く、厳しいことを言うと受け入れてくれなかったり、すぐやめてしまったりする場合もあります。さらにこの方法は
- 相談室長のキャラやポリシー
- 会員様のキャラやポリシー
- 互いの距離感
にかなり影響されるものですので、すべての相談所の方が全く同じ方法を実践できるわけではありませんが、「ご自身なりの方法で会員様と真剣に向き合うこと」で、それが結果的に次の紹介につながる可能性があることを頭の片隅に入れておくと良いと思います。
最後に
「終わり良ければすべて良し!」という言葉がありますが、会員様の活動の終わりである退会時をただただ悲しいだけで終わらせないよう、上記を参考になさって対応してみてはいかがでしょうか?
これから結婚相談所を独立・開業される方・既に相談所運営をされている方の参考になれば幸いです。